【クリスマスの願い事(大人用)】サンプル
愛ちゃんの クリスマスの願いごと あなたに贈るお話しの本 ますやま あつし作 | |
発行所●ギフト絵本ショップ | ![]() |
![]() | 山本 愛 さま メリークリスマス! これは あなたのために特別に作られた本です。 あいちゃん、メリークリスマス! 今年も楽しい思い出いっぱいつくろう。 2008年12月25日より 拓也より |
「今年のクリスマスプレゼントはどうしよう?」 25歳の愛ちゃんは ため息をつきました。 世の中はクリスマスムード一色。 街はうきたつような空気に包まれています。 でも 愛ちゃんの目下の悩みは、 信吾や、恭子や、 あやちゃんへの クリスマスプレゼントが きまらないことなのです。 部屋に飾られたクリスマスツリーを眺めながら、 愛ちゃんは 25回目のため息をつきました。 | ![]() |
![]() | 幼い頃、クリスマスの朝には、 プレゼントがいつも枕元に置かれていました。 でも愛ちゃんは、もう自分でプレゼントを 探しにいかなければならないのです。 「電話一本、30分でお届け」してくれる、 ピザ屋みたいなサンタクロースはいないかなあ。 プレゼントのことを考えすぎて、 愛ちゃんの頭はオーバーヒート気味! そのときでした。 郵便受けがコトリ、と小さな音をたてたのは。 |
郵便受けをのぞくと、見慣れない模様をあしらった、 一通の手紙が入っていました。 そこには消印も、東京の 愛ちゃんの住所もありません。 ただ、「山本 愛様」という文字があるだけです。 封を切った愛ちゃんは驚きました。 そこには、こんな文章があったのです。 山本 愛 様 わしはサンタクロース。 クリスマスももうすぐじゃが、いかがお過ごしかな。 サンタクロース?? 愛ちゃんの頭はいっきに真っ白になりました。 | ![]() |
![]() | サンタクロースの国は今、 クリスマスプレゼントの準備で大忙しじゃ。 なにしろ、世界中へプレゼントをは運ぶんじゃからな。 愛ちゃんはどんなプレゼントをお望みかな? サンタクロースの国、特製クッキーはどうじゃ。 もみの樹の形をしていて、 それはそれはおいしいクッキーじゃよ。 |
愛ちゃんはやっぱりそうかと思いました。 これは最近、近所にできたケーキ屋の、 ダイレクトメールに違いありません。 でも手紙の文章はまだまだ続きます。 プレゼントの用意ができると、 こんどはトナカイたちの準備をしなきゃならん。 金の鈴がついたひもを、一頭一頭つけていくんじゃ。 これがあの有名な 「ジングルベル」という曲になるんじゃよ。 | ![]() |
![]() | 愛ちゃんは、信じられない、と思いました。 サンタクロースなんて架空の人物で、 そんな話はとっくに卒業したはずなのに・・・ でも手紙には・・・ サンタクロースなんているもんか、 と思っておるじゃろう。 サンタクロースを見たかったら、 クリスマスイブにサンタクロースの国にくるとよい。 世界中の国々に飛び立つサンタクロースのソリを、 一般公開しておる。 |
愛ちゃんは、またわからなくなりました。 どうやらこれはケーキ屋どころではなさそうです。 もしかするとフライドチキンの店かもしれない!? 愛ちゃんの脳裏に、小太りで、 めがねをかけ、いつもニコニコして町角に立っている、 とあるおじいさんの姿がうかびました。 わしはみんなの視線を浴びながらソリに乗り込む。 まるでスターになったきぶんじゃ。あたりは大騒ぎさ。 みんなの寝顔を見るのもいいが、 幸せそうな笑顔を見るのは、 もっといいもんじゃよ。 | ![]() |
![]() | 愛ちゃんはちょっとばかり想像してみました。 もし自分がサンタクロースの国に行けたら! なんてわくわくする光景なのでしょう。 そうか、これは旅行会社のパンフレットなんだ!? 「冬休みはスキーをかねてサンタクロースの国へ!!」 こんなキャッチコピーがうかびました。 みんながわにしてをふってくれておる。 いよいよ出発じゃ。忘れ物はないかな? |
それからわしは、トナカイたちに、 「さあ、行こう!」と声をかける。 するとそりはあっというまに空の上。 空気は冷たいが、とても良い気持ちじゃ。 いちど乗せてやりたいくらいじゃよ。 この手紙は航空会社のパンフレットかもしれない?? と 愛ちゃんは考えました。 北欧の空を遊覧飛行する会社なのです。 でも、愛ちゃんは高いところはちょっと苦手です。 | ![]() |
![]() | めざす家に到着すると、さあ仕事じゃ。 エントツから、といいたいところじゃが、 近頃はエントツのない家が多いから大変じゃ。 なんとか家に入りプレゼントを置いたら、 すぐ次の子の家にいかなきゃならん。 プレゼントのリストは、 子供たちの名前でいっぱいじゃ。 こんどは警備会社のパンフレットかな? と 愛ちゃんは思いました。 「サンタクロースも入れない防犯装置」じゃ、 サンタクロースがかわいそうです。 |
目のまわるような夜を過ごして、 クリスマスの朝に帰ってくるころは、 もうへとへとじゃが気分はそう快じゃ。 この一夜のために、一年を過ごしておるからな。 わしは妻に子供たちの様子を話してやる。 あの子は今年もいい子にしておったよ、 というと、妻もとても嬉しそうじゃ。 そうそう、わしは 愛ちゃんの、子供のときの 寝顔を見たこともあるんじゃよ。 結婚案内のパンフレットだったのか、 と 愛ちゃんは思いました。 でもサンタクロースにもおくさんがいるなんて! | ![]() |
![]() | クリスマスの前には、 たくさんのおもちゃを作る仕事がわしを待っておる。 家では、一日中にぎやかな音がしているが、 それはおもちゃを作る音なんじゃ。 こんどは隣町にできた大きなおもちゃやさんかな? と 愛ちゃんは考えました。 そして子どものころ、目が覚めると、 きまって枕元に置かれていた プレゼントのことを思いうかべました。 昨夜までなかったおもちゃが、朝そこにあるのは、 とても不思議で、魔法のようでした。 |
愛ちゃん、 おまえさんはもうおもちゃで遊ぶ子供ではないが、 今回のクリスマスには、 特別にプレゼントをあげることにしよう。 はてさて、何だと思うかね? 子の手紙を最後まで読んでくれればわかるが、 それはまだ秘密じゃ。 | ![]() |
![]() | そろそろたくさんのプレゼントが、 きれいに包まれて、いろんな国に旅立つところじゃ。 サンタクロースのプレゼントというもんは、 ただおもちゃを包んでいるだけではないぞ。 その中には、 夢だの、希望だの、感謝だの、愛情だのといった 気持ちがいっぱいつまっとる。 子供たちは、プレゼントをあけたとき、 その気持ちも一緒に受取ることになるんじゃ。 もちろん、愛ちゃんや 信吾や、恭子や、 あやちゃんへの プレゼントにも入っておるとも。 |
さあ、いよいよ出発じゃ。 わしはおなじみの赤い服を着る。 北欧の空の凍るような寒さも気にならんような、 完全防寒仕様じゃ。 プレゼントをつめた大きな袋をソリに乗せ、 たくさんの子供たちに会えるのももうすぐじゃ。 外はもう、しんしんと雪がふっておる。 愛ちゃん、おまえさんへのプレゼントは、 拓也にあずけておいた。 ま、楽しみにしておれ。 | ![]() |
![]() | わしは空をひとっ飛び。 ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア、そして 東京にもプレゼントを届けにいくぞ。 プレゼントを待っとる子供たちは世界中におるからな。 そうじゃ、忘れておった。 わしがこんな手紙を書いたのは、理由がある。 プレゼントが無事おまえさんへ届くには、 ひとつ条件があるからなんじゃ。 それはクリスマスの朝に、ひと言こういえばよい。 つけくわえるなら、できるだけ明るく、楽しくやって くれ。 愛ちゃんは、 いそいで最後の紙をめくりました。 そこには・・・ |
メリークリスマス! 愛ちゃんは、 信吾や、恭子や、 あやちゃんへの プレゼントを選びにコートをはおると、 楽しそうに出かけて行きました。 ポケットには、 サンタクロースからの手紙が入っています・・・ |